イタリア風?ドリア

イタリア風?ドリア

当時フランスの料理界の頂点に君臨していたエスコフィエの料理に傾倒していたワイル氏は、ニューグランドのメニューにも、エスコフィエの料理書に記されていた料理を数多く出していました。お客さまからの要望を受けたワイル氏が、あり合わせの材料を使ってトゥールヴィル風をアレンジして作りました。

 

海軍提督の名が由来しているシーフード料理のアレンジということで、港町ジェノバの海軍提督の名をもとに料理名を付けたと言われています。某書には、“冷めてしまったピラフがもったいないからベシャメルソースとチーズをかけて焼き、チーズがイタリア産だったからイタリア風という意味でドリアとした”と書かれていますが、これは間違いでしょう。

 

その理由は、そもそもピラフ料理は作り置きして冷ましておいたものを再加熱して提供するのが常套手段です。「作り過ぎたピラフがもったいない」というのなら分かりますが、「冷めてしまったピラフ」というのは理由になりません。(作り置きでなければ冷めたピラフとは、まさかお客様の食べ残し…ではないでしょう。)チーズがイタリア産だから「イタリア風」という話も、グラタンの表面にパルミジャーノ(イタリア産)をかけて焼くことは、フランスの料理書、大正時代の日本の料理書にも書いてあるくらい昔から一般的な調理法です。

 

イタリア産のチーズを使ったからと言ってわざわざ「イタリア風」にするのも分かりませんし、パルミジャーノの産地はエミリア=ロマーニャ地方なので、少なくともジェノバの有名貴族の名をあてるのは、少し違和感を感じます。